本成功事例は、LTS Group がPOSシステム開発サービスを通じて、お客様が掲げるソフトウェア領域への事業シフトというビジョンをどのように具体的な成果へと結びつけたのかを示すものです。
お客様の概要
本案件は、決済および物流領域向けのハードウェアデバイスを主力としてリセール事業を展開されてきました。しかし、市場のデジタル化が急速に進む中、今後はソフトウェア領域への事業拡大を視野に入れ、初めてとなるソフトウェア開発プロジェクトに着手されました。
本プロジェクトは、お客様にとって新たな事業モデルへの転換を支える「失敗の許されない重要な一歩」であり、将来の事業成長に向けた確固たる基盤を築くことが求められていました。
パートナー選定においてお客様が最も重視したのはコスト最適化であり、さらに決済ビジネス特有の膨大なテスト・QA業務に対応できる高度な品質保証体制でした。
第1章: 舞台設定
プロジェクトを絶対に失敗させず、かつコストを最適化したいという強い思いから、お客様はテストおよびQA分野に高い専門性を持つパートナーを必要としており、その要件に合致した LTS Group にご相談いただきました。
本プロジェクトでは、迅速かつ正確な対応能力に加え、ドキュメントの整備や開発環境・サーバークローズ管理の徹底が必須条件として求められていました。
これらのニーズに対し、LTS Group はオンサイトとオフショアを組み合わせた Highbridge ワーキングモデルを提案しました。プロジェクト初期のドキュメントフェーズでは、業務理解とコミュニケーション基盤の構築を目的に、すべての作業を100%オンサイトで実施。
その後の開発・テスト・UATサポートフェーズでは、常にオンサイト要員を配置し、開発環境やサーバークローズに関する課題へ即時対応できる体制を構築しました。これにより、お客様が抱える品質要求とスピードの両立を実現し、プロジェクト全体の安定推進につなげています。
第2章: 協業のハーモニー
LTS Groupとお客様との協業は、深い専門性と緊密な連携が見事に融合した成功モデルと言えます。
要件定義(RD・要件分析)段階からお客様と並走し、業務理解と要件整理を共同で実施しました。要件定義が完了した後は、ビジネス部門(BD)からIT部門への引き渡しプロセス全体を LTS に一任いただき、LTS は単に要件を受け取るだけでなく、技術的な観点からアイデアや設計ソリューションを積極的に提案し、プロジェクトの品質向上に貢献しました。
結果として、LTSが主体となり、開発・テスト・品質保証の各工程をリードしました。プロジェクトは順調に進行し、現在ではシステムが正式に 本番稼働(Go-Live) し、日本国内全域で利用されるまでに至りました。
第3章: ビジネスチャレンジ
厳格なリリーススケジュールのもと、プロジェクトは複数の品質保証上の問題を抱えていました。
- テストカバレッジに顕著なギャップがあった。
- テスト結果が信頼できなかった。
- 社内のQAリソースが効果的に活用されていなかった。
- 重大なバグがステージング環境や本番環境に漏れ出ていた。

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コスト削減チャレンジ
業務プロセスの中から無駄な作業を1つ抽出し、工数10%削減を目標に最適化を図ります。
また、外注費やクラウド費用を最適化するための改善案を検討・提案します。
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業務効率化チャレンジ
現在手作業で行っているプロセスを1つ自動化し、業務のスピードと正確性を向上させます。
さらに、月次レポートを自動生成する簡易ツールを試作し、運用負荷の軽減を目指します。
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顧客満足度向上チャレンジ
顧客の不満点を1つ調査・分析し、具体的な改善策を提案します。
また、CS(顧客満足度)を可視化できる仕組みを小規模でも良いので構築し、継続的な改善に活用します。
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売上以外の価値創出チャレンジ
チーム全体が活用できる内部ツールやテンプレートを作成し、生産性向上に貢献します。
加えて、新規サービス案を1つ企画書としてまとめ、将来的な事業価値につなげます。
第4章: 成功を支えた要因
本プロジェクトが円滑に進むよう、以下のような明確な要件管理・高度なコミュニケーション・品質管理プロセスを徹底していました。
1. 厳格な要件・変更管理
要件の明確化と安定性を重視し、プロジェクトの目的を初期段階で明確に定義しました。要件変更が発生する場合でも、厳格な変更管理プロセスを適用し、影響範囲の把握と調整を確実に行いました。
また、要件分析フェーズからオンサイトに2名を常駐させ、仕様確認やコミュニケーションの精度を高めました。
2. 透明性の高いコミュニケーション
関係者間の効果的なコミュニケーションを実現するため、顧客・プロジェクトマネージャー(PM)・開発・テストの各チーム間で透明性の高い情報共有を徹底しました。
PMおよびテスターはN2以上の日本語スキルを有し、開発者も英語を用いたコミュニケーションに対応可能でした。Teams、Chatwork、Backlog、メールなど、公式かつ統一されたコミュニケーションチャネルを用いることで、情報の齟齬を防ぎました。
3. 堅牢なプロジェクト管理とドキュメント整備
堅牢なプロジェクト管理プロセスを採用し、詳細な計画(タイムライン、マイルストーン、リスク管理)を策定しました。進捗を定期的にモニタリングし、早期に課題を発見・解決することで、プロジェクト全体の安定性を確保しました。
4. 品質の維持・向上
チームのスキルと経験も成功要因のひとつです。Dev、Tester、BrSE、PM は業務知識と技術スキルの双方を備え、課題発生時には主体的かつ協力的に対応できます。必要に応じてオンサイト勤務や残業にも柔軟に対応し、納期と品質を両立しました。
また、ドキュメントの整備にも注力し、SPEC、API ドキュメント、フローチャート、テストケースなどを体系的に作成することで、チーム全体の認識統一と作業効率向上を実現しました。
最後に、品質管理の徹底として、コードレビューや設計レビュー、定期的なテストチェックを継続的に実施しました。すべての不具合は解決までトラッキングし、発生したバグに対しては都度原因分析を行うなど、品質基準の維持・向上に努めました。
テクノロジースタック
POSシステム開発プロジェクトにおいて、弊社は以下の技術および機能を導入いたしました。
- Kotlinを用いた Android アプリ開発
- POS システム向けファームウェアの開発
- HTTPS およびソケットによる安全な通信
- NFC による非接触決済のサポート
- QRコードおよびバーコードのスキャン
- ローカルデータベース(Local Database)によるデータ管理
主な機能
- 日本国内でのあらゆる決済手段に対応:クレジットカード、現金、QRコード、WAONポイント、バウチャー、Suica などの複数の決済手段を組み合わせた支払いも可能
- 日次報告、総合報告、売上報告の作成
- POS端末との操作同期
- スーパーシステム内の各種デバイスの設定

テスト結果
- 総テストケース数:9,000件 以上
- 検出・検証バグ数:400件 以上
- リグレッションテスト実行数:5,000回 以上
実績
- スケジュール通りの完遂: プロジェクトを予定通りに完了し、スムーズな本番展開を実現しました。
- 高いシステム性能: 99.99%のシステム稼働率と、4秒未満の決済処理時間を達成しました。
- 大幅なコスト・工数削減
o ハードウェアコスト:40% 削減
o レジ業務の手作業:20% 削減
o IT保守工数:30% 削減
- 顧客体験(CX)の向上: 会計スピードの30%向上とPOS上での残高照会機能の実装により、顧客体験を改善しました。
- 高い顧客満足度: ステークホルダーより高い満足度評価と、肯定的なフィードバックをいただきました。
- 日本国内で12,000台以上に導入されており、2026年には30,000台規模へ拡大する予定です。
適するソリューションと達成した実績により、これまでLTSはお客様にとって主要なソフトウェア開発パートナーとして位置づけられています。